ウェディングブーケの選び方|ブーケ併用のオススメ度
Q. 前回のQ&A では、披露宴と2次会で1つのブーケを併用するのは難しいというようなことが書かれていましたが、挙式と披露宴でも同じことがいえるのでしょうか?
ちなみに、挙式と披露宴は同日・同式場で行います。ドレスは、披露宴の前半は挙式と同じものを着て、お色直しでカラードレスにチェンジします。*2016年5月挙式予定
A. ご質問ありがとうございます。
そして、ご結婚おめでとうございます。
ご質問者さまへの回答としましては、挙式から披露宴前半に至っては、1つのブーケで問題はないと思います。
挙式は正味20分程度。せっかくのウェディングブーケを20分の使用で終わらせてしまうのは、もったいないですからね。
では、どういうときには良くて、どういうときにはダメなのか?
戸惑いを持つ人は多くいらっしゃると思いますので、もう少し広範囲に捉えて、ブーケ併用の良し悪しを考えていきたいと思います。
目次
[挙式→披露宴]で考える
日付が変わる
挙式日と披露宴日が異なる。
この両方に1つのブーケで臨むのは、生花のブーケを考えているのであれば、まず無謀といわざるを得ません。
どれだけしっかりと保水ケアをしたところで、生花は刻々と姿を変えていきますので、日をまたいでの使用は止めたほうが良いと、ハッキリとご忠告申し上げます。
ブーケというものは、花嫁さんがブーケを使用する時点から逆算して準備を進めていきます。
一番気を使うのは開花状態。
バラにしてもユリにしてももちろん他の花にしても、花嫁さんにお引き渡しする時が一番キレイに花開いている ことに注力して開花調整をしています。
生花のブーケが本当に美しくいられるのはほんの一瞬。
時間が経つほどにベストの状態からは遠くなっていきますので、日をまたいでの使用は控えるようにしましょう。
【ブーケ併用のオススメ度:✖️】
時差・移動
ここは、今回のご質問者さまに当てはまるところですので、細かく説明していきましょう。
ホテルなど 同一の会場で挙式&披露宴を行う場合 のスケジュールは、大概どこも同じように設定されています。
たとえば、ーー 挙式開始がAM10:00〜 の場合 披露宴開始はAM11:00〜 ーー というように、1時間の間隔が一般的です。
このようなケースでは挙式から披露宴開始までは一連の流れになるので、ご質問者様が心配されるブーケへのダメージはまず問題ありません。*あくまでもブーケ自体に不備がないことが前提になります
ご安心してブーケを併用なさってください。
【ブーケ併用のオススメ度:◎】
次に、挙式をどこかの教会で行い、その後、別の披露宴会場へ移動する 式場が変わる ケースを考えてみましょう。
この場合は、移動にかかる時間や環境によって変わりますが、目安として1時間以内の移動であれば問題はないと思います。
このようなときは、会場に着いた後、花嫁さんがメイク直しをするのに併せて、霧吹きなどの軽い保水ケアをブーケにおこなってください。
また、タクシー移動では空調の影響を受けやすいので、軽い薄紙などを覆ってあげると(その上から霧吹きをすればなお良い)、ブーケは保護されます。
【ブーケ併用のオススメ度:⚪️】
3つめに、挙式から披露宴まで 2時間以上も空き時間が生じてしまう場合。滅多にないとは思いますが。
このようなときは、とにかく空き時間中は保水ケアをしっかりとすること、そして涼しい環境に保管しておくこと。
[披露宴→2次会]の状況と似ていますが、それよりはブーケのダメージ(ブーケが受けるストレス)は少なくなるので、ケア次第でブーケの状態は良好に維持できると思います。
【ブーケ併用のオススメ度:△】
衣装で考える
ここでは、衣装チェンジのケースで考えてみましょう。
白ドレス→白ドレス
白ドレスから別の白ドレスへ衣装チェンジをした場合。
ウェディングブーケというのは、ドレスのデザイン(シルエット)との関連性が高く、ドレスのタイプ別にブーケの型をカテゴライズする基準があります。
理想のウェディングブーケを手に入れる5つのポイント 〜ドレスに合わせてみる〜
ですので、「白から白へのチェンジだから、ブーケは同じものでいいや」と単純に考えてしまうのはちょっと危険なのです。
色は同じかもしれませんが、ドレスのシルエットが変わればそれは別もの。
ドレスのシルエットに合ったブーケを持ってこそ、ドレスの良さが最大限に発揮されます。
【ブーケ併用のオススメ度:✖️】
白ドレス→カラードレス
「ドレスの色を変えて印象がだいぶ変わったから、ブーケは変えなくてもいいかな」
万が一、こんな気持ちになってしまったらちょっとSTOP。
前項で ドレスのタイプ別にブーケの型をカテゴライズする基準があることをお伝えしましたが、ブーケ選びの大切な要素としてもうひとつ、カラーコーディネート があります。
理想のウェディングブーケを手に入れる5つのポイント 〜カラーコーディネートの基礎知識〜
これはもうお出掛けのときの洋服選びと同じこと。この服にはこのバッグ、これだったらこの靴、というようなコーディネートと同じなわけです。
そう、ブーケっていってみればアクセサリーなんですよね。
「ドレスがバーガンディーだから、ブーケはパープルにして大人っぽく仕上げよう」とか、あるいは、「淡いピンクのドレスにクリーム色と水色のお花を合わせてパステル系で可愛くまとめちゃおう」と、カラーコーディネートにおいてドレスとブーケは非常に密接な関係にあります。
せっかくの花嫁姿。妥協してしまうのはもったいない。
洗練された ”おしゃれコーデ” には、ブーケの役割も大きく関わってきます。
【ブーケ併用のオススメ度:✖️】
ドレス⇄和装
最近では和装用のブーケが広まりつつあり、特に衣装の色柄に合わせたボールブーケは、花嫁さんの関心が高く人気アイテムとなっています。
しかしながら、ドレスと和装ではそもそもの様式が違います。
和装のボールブーケをドレスで持つのはあからさまにおかしいし、逆も然り。
ここは無茶をせず、それぞれ用意したほうが賢明ですね。
【ブーケ併用のオススメ度:✖️】
洋装にも和装にもフィットするボールブーケがあった! 造花ブーケの通販|劇的花屋
演出で考える
ブーケセレモニー
まず、「ブーケセレモニー自体よくわかりません」という方は、どうぞこちらをお読みください→ Q. そもそも結婚式にブーケって必要なのでしょうか?|ブーケセレモニーとは
ブーケセレモニーは人前式で行うケースが一般的なので、必然的にブーケセレモニーは挙式用ブーケという位置付けになります。
すなわち[挙式→披露宴」の項目に当てはめて考えれば良いということです。
ひとつ注意しなければならないのは、ブーケセレモニーは花婿が花を束ねる役を担うので、出来上がったブーケはお世辞にもキレイといえないケースがほとんどです。
セレモニー中はそれも良さ(味)として受け止められますが、だからといってそのまま披露宴へ臨むとそこでは場違いになってしまいます。
併用をする場合は、ぜひフローリスト(お花屋さん)に手直しをしてもってください。
【ブーケ併用のオススメ度:◎】
ブーケトス
ブーケトスは挙式が終わった後の流れで行われるのが一般的です。
一段高い位置から花嫁が背中越しにブーケをリリースます。
ブーケトスは安全性を担保する必要があるため、ワイヤリングブーケやホルダーブーケではおこなっておらず、必然的に 小ぶりのクラッチブーケ になることから、花嫁の挙式用には必ずしも合致しません。
また、ブーケトス後は花嫁の手元に戻らないため、披露宴での使用は不可能になります。
そのようなことから、ブーケトスをする場合は、専用のブーケを用意することが求められます。
【ブーケ併用のオススメ度:✖️】
ブーケプルズ
ブーケプルズの趣旨はブーケトスと同様になります。
ブーケトスとの相違点は、ブーケトスは挙式後に行われることが多いのに対し、ブーケプルズは披露宴の中で行われることが多い点です。
もし花嫁のブーケをブーケプルズに使用すると、そのブーケは当選者のものとなり花嫁の元へ戻ってきません。そうすると、最後の挨拶時と披露宴後のフォトタイムで花嫁にブーケが無いという事態を招きます。
そのようなことから、やはりブーケプルズ専用のものを用意したほうが良いでしょう。
【ブーケ併用のオススメ度:✖️】
お色直し(ドレスのマイナーチェンジ)
お色直しは、結婚式の中で最大の見せ場のひとつといえます。
なんといっても花嫁の衣装チェンジが注目の的ですが、ドレスの種類によっては、1着のドレスでイメージチェンジできるタイプがあります。つまり、マイナーチェンジです。
そのようなとき、「ドレスのシルエットは大きく変わらないのだから、ブーケを変える必要は無いのでは?」とお考えになりますか?
いやいや、待ってください。
そのようなケースであればなおさら、ブーケの変化が大きな役割を果たします。
ご友人たちは注目しています。
ドレスのマイナーチェンジには、ブーケや髪型の変化を賢く活用して「なるほど、こんなお色直しの魅せ方もあるんだ」と思わせちゃいましょう。
【ブーケ併用のオススメ度:✖️】
まとめ
以上、あらゆるケースを想定して、ブーケ併用の可否をシミュレーションしてみました。
「なんだ、ほとんどが✖️印じゃないの」
と思われているかもしれません。
たしかに私は花屋の立場から話をしているので、それなりの肩入れはあると思います。
しかし同時に、花屋だからかこそ気づく点もあるわけです。
前にも述べたかもわかりませんが、ブーケの状態において周囲が気づかないことなのに、私からするとすごく気になってしまう(ミステイクと思うこと)シーンに、これまで何度も遭遇してきました。
もしかするとそれは、周囲の人たちも本当は気づいていながら、あえて指摘しなかったのかもしれません。
であるなら、そのシーンを回想するたびに出るタメ息はさらに大きくなってしまいます。
生花のブーケはみなさんが思っている以上にデリケートにできていて、空調のちょっとした風や照明の熱に敏感に反応します。
クラッチブーケを水に浸けない状態で置いてあるのを見ると本当にヒヤヒヤします。
美的センスというものには正解はなく、その人がそれで良いと思えば、周囲はそれ以上のことをいう必要はありません。
白ドレスからカラードレスを1つのブーケで通すと本人が決めたのなら、それ以上のことをいう必要はないと思っています。
ドレスから和装へのブーケ併用にしても、ちょっとした小物使いでブーケが劇的に変身して、和洋いずれにもフィットすることだってあるでしょう。
なので、ブーケ併用のオススメ度において、美的感覚が判断基準になっているものについてはあまりお気になさらずに、ご自身の感性を優先してください。
しかし、ブーケが劣化する危険性のある使い方に関しては、ぜひともこの章をご参考いただき、くれぐれも萎れた、あるいは形が崩れてしまったブーケを持つことのないよう、お気をつけいただきたいと切に願います。
ウェディングブーケは、ドレスと同じくらい大切な役割を担っていることを花屋の立場からお伝えして、この章のまとめを結びます。