写真で比較! 造花ブーケと生花ブーケはどこまで違う?
今回はひとつ検証をしてみます。
いうほどたいそうなものではありませんが、前回 古い造花を手にして蘇る記憶 〜玩具から工芸品への進化〜 のコラムの中で造花の進化について触れた手前、なにかお示しできる方法はないものかと考えまして、「そうだ、生花のブーケと造花のブーケを写真で比較してはどうだろう」と思いついたのです。
検証方法としては、
- 生花と造花を写真で比較する
- できる限りタイプの似たブーケで比較する
- 使用するブーケサンプルは当社商品に限る
とします。
ご留意いただきたい点としましては、
- 写真にはところどころピントの甘いものがある
- 撮影条件はマチマチなので見え方に差があるかも
といったことで、多少のストレスをお感じになられるかもしれません。
これらをご留意の上、ご覧いただけますと幸いです。
それでは、検証に進んでまいります。
ユリのブーケで比較する
上の写真には、同タイプの2つのブーケが写っています。
”カサブランカ” という白大輪のユリを使ったキャスケードブーケになります。
一方が生花、もう一方は造花。
さあ、考えてみましょう。
”造花はどちら?”
Let’s think about it.
では、答えを見てみます。
正解はこちらです。
いかがでしょう?正解しましたでしょうか?
向かって右側が造花です。
この造花のブーケは、ユリに限らずそれ以外のお花、アジサイ(ほんのりピンク色)や、リキュウソウ(しなやかな流線形を描く葉物)もじつに精巧に作られているので難解だったのではないでしょうか。
もう少し寄ってみましょう。
ユリにフォーカスしてみました。
ここまで寄っても決定的な差はそれほど感じられません。
白い花弁の部分は正直私でも見分けがつかないです。
左の写真にカサブランカ特有の小さなブツブツと透け感がみてとれますが、右側の花弁からも負けじと花脈が刻まれているのが確認できます。
一番の違いは、雌しべの先端部分にあらわれているようです。
さらに寄ってみましょう。
ここまできてようやく違いがはっきりしてきました。
右側の方は、雌しべの先端がいかにも作り物であることがみてとれます。
全体的なクオリティーが高いだけに、メーカーさんにはもう少しがんばって欲しかったですね。
また、雄しべを含む花柱・花糸と呼ばれる部分の色が左右では違っていますが、この部分はさほど気にすることもないように思います。
バラのブーケで比較する
次に、別のブーケでみてみましょう。
バラのブーケです。
今度は、左側が造花で右側が生花になります。
こちらもパッと見た限り大差は感じられません。
左側のバラの部分にフォーカスしてみますね。
すみません、若干ピンボケしています。
なにぶんアマチュア(私)が撮影したものなのでご容赦ください。
花弁の巻き具合(花弁の枚数)、繊細な色の乗り具合、花脈の刻まれ方、どれをとっても素晴らしいのひとこと。
挙げるとするなら、バラではなくて葉っぱの部分がちょっと造りものっぽいかなという程度です。
コチョウランのブーケで比較する
さらに別のブーケで検証していきましょう。
こちらは和装ボールブーケ。
向かって左側が造花、右側が生花です。
いかがでしょうか?
上の写真で見る限り、2つの間に決定的な違いは見受けられないように感じます。
コチョウランに寄ってみました。
生花・造花のどちらに感じられますか?
はい、そうです造花です。
(他の花の写りこみでバレバレでした)
たしかに本物に比べ質感が硬いのがわかりますが、まあそれを差し引いてもこのディテールのこだわりには頭が下がります。
ちなみに、次の写真が生花のコチョウランです。
(画像がすこしボヤけています。あしからず)
この生花のコチョウランは ”アマビリス” という名の中輪系の種類。
造花のみで検証する
ここからは、造花のみで検証してみます。
プルメリアのブーケ
ハワイ挙式で人気のプルメリアのブーケです。
よく観察するとエッヂの部分にほころびの見える箇所があります。
気にするかしないかの分かれ道…かな。
ひまわりのブーケ
夏を代表するひまわりのブーケ。
ひまわりを見比べてみると、筒状花に個体差があるのがわかります。
こだわっていますね。
💡 筒状花とは? ひまわりには、舌状花(ぜつじょうか)と筒状花(とうじょうか)と呼ばれる2種類の花が存在しており、外周の黄色い花弁部分を舌状花、サークルの中に集まる顆粒状のものを筒状花と呼びます。 舌状花は雄しべを持たず、受粉する(ひまわりの種ができる)のは筒状花のみです。 |
多肉植物&エアプランツのブーケ
きわめつけはこちら、多肉植物&エアプランツのブーケ。
多肉植物およびエアプランツは、そもそもが人工物のような質感なので、これはもうほとんど見分けがつきません。
下の写真は生花のほうがブーケではありませんが、作風が近いので比較してみます。
造花と生花の記載が逆じゃない?
と思うほど判別がつきません。
まとめ
いかがだったでしょうか?
いくつかの素材を使って、造花と生花のブーケを比較してみました。
やはり前回のコラムに書いた通り、たんに擬似品という言葉では片付けられないほど、造花のクオリティーが上がっているのをお分かりいただけたと思います。
ただ、よーく観察した結果、もう少しリアル感の欲しいと思うところや、ほころびの気になる部分があることも発見できました。
かたや生花ですが、こちらは瑞々しい美しさと引き換えに、痛みがでる・茶色く変色する・花が萎れるといったリスクがつきまといます。
これは、造花・生花どちらにもいえることですが、ブーケを購入する際の検討材料として、
「安いものはそれなりのもの」
ということを念頭におくと良いと思います。
生花にはそれぞれの花に等級があるというのをご存知でしょうか?
たとえば赤バラ一本を例にとると、
・花の大きさが違う
・花弁の巻き(花弁の多さ)が違う
・耐久力(花保ちの良さ)が違う
・色の深みが違う
と、ザッとあげただけでも等級の低いものと高いものには、これだけの差があらわれます。
魚のマグロと同じと考えてみてください、といえばご理解しやすいでしょうか。
造花も同じです。
安い造花はそれこそオモチャのようですが、高級造花は工芸品の域に達していると言ってしまえるほど、とても精巧に作り上げられています。
ウェディングブーケ選びは、単に生花 or 造花 の2択で選ぶ時代はもう終わりました。
生花(high)or 造花(high)or 生花(low)or 造花(low)と、より細分化した4つの選択肢があなたのブーケ選びを最適化します。
その中でご自身の使用スタイルに合ったものをお選びになれば、ガッカリするようなことも起こらないでしょう。
生花と造花は差別するものではなく区別するもの と、この検証からも結論づけすることができたと思っています。